夏休みに合わせ,全基で再開
【事故はオープン日から】皿倉山のスライダー問題の経緯
4月25日:皿倉山山頂にロングスライダー設置。八幡東区職員がすねを骨折したが,市は公表せず。
5月11日:職員のけがを受け,市が注意看板を増設。
5月27日:着地地点のゴムマットを延長。
5月28日:台湾からの観光客がすねを骨折。
6月3日:市がスライダーの利用を停止。
6月下旬以降:利用停止が報道され,市は職員のけがを公表。その後,けがの情報提供が相次ぐ。
7月10日:6~12歳に限って利用を再開すると発表。
4月25日に設置されたスライダーは全長30メートル,高低差約9メートル。無料で市街地を一望しながら滑れると人気を集めた。しかし,台湾から訪れた30歳代女性が着地時にすねを骨折したとの情報が6月2日に入り,翌3日に利用を停止した。
同月下旬にこの事故が報道された後,市はオープン当日,試験的に滑った同区役所職員の40歳代男性が着地時にすねを骨折していたことを明らかにした。その後,負傷者らから市へ連絡が相次ぎ,事故情報は骨折8件を含む計10件に上った。
市はオープンの日の骨折事故を受けて利用を停止しなかった理由を,「職員は滑り具合を確認しようと故意にスピードを出しており,特殊な状況だったため」と説明。事故の非公表がけが人の続出繋がったのではとの疑問に対し,武内和久市長は7月4日の定例記者会見で「そのような考えも良くわかる。公表,発信には意を払っていきたい」と答えた。
リスク見通せず?
市によると,けがをしたのは大人9人と幼児1人。スライダーを製造した『大永ドリーム』(前橋市)によると,6~12歳を対象とした安全基準は満たしているが,体が重い大人は加速して着地時に飛び出しやすいという。同社や医師からは,スピードの出し過ぎによる着地の失敗がけがの原因との見解が示されている。
市はオープンから利用停止までの一ヵ月間余りで約2万人が滑ったと推計。当時は利用が禁止されていなかった大人も多く滑ったとみられる。市の聞き取りでは,けがをした中には寝そべって撮影しながら滑っていた大人もいた。『絶景』に気を取られてスピード調整がおろそかになった可能性も考えられ,市議からは「皿倉山に設置するリスクへの想像力が欠けていた」との指摘がある。
サポーターを配置
大永ドリームによると,全国に設置されている約340基でも6~12歳がけがをしたとの情報はないという。この為,市は子供に限って利用再開を決定。時間を午前10時~午後6時に限定し,滑り方を指導する「サポーター」として市職員らを配置する。大人の利用については,安全対策を検討した上で判断する。
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