トライアルカンパニー
九州の代表企業が3800億円で西友を買収。 7月2日、九州を地盤とする小売企業「トライアルホールディングス(トライアル)」は、総合スーパー(GMS)である西友の買収完了を発表した。 【写真】トライアルが開発した「スキップカート」。専用アプリがあればレジを通さずに決済ができる かつて、日本の有力スーパーの一つだった西友は、バブル崩壊の1990年代以降に業況が悪化し、2002年に米ウォルマートと包括的な業務提携を締結した。この頃は2000年2月13日に長崎屋が倒産。(サンバード長崎屋)翌2001年9月14日にはマイカル(この頃はSATTYで店舗展開)大手量販店が軒並み業績悪化で無くなりました。
西友はウォルマートとの提携でも、本格的な業況回復につなげることは難しかった。2023年までに、ウォルマートは西友株の85%を投資ファンドのKKRに売却した。今回、トライアルはKKRとウォルマートから100%の株式を取得した。 トライアルの最大の強みは、小売分野でのデータ分析にあります。持株会社の傘下には、トライアルカンパニー(流通小売)と、Retail AI(小売分野でのデジタル技術導入業)2つの分野がある。 トライアルの永田洋幸代表取締役社長は、Retail AIのトップを兼務している。同社は、データ分析による消費者の潜在需要発掘などを得意としている。トライアルが持つ分析能力を駆使すれば、西友の店舗の効率性や収益性が高まる可能性はあるだろう。 ■買収金額は営業利益の20倍近くだが… 一方、やや懸念されるのは、トライアルの買収負担が大きいことだ。同社の業績予想によると、2025年6月期の営業利益は192億円(期初計画比83.5%)だ。それに対して、西友買収の費用は約3800億円である。本業のもうけの19.8倍の買収コストを背負うことになる。専門家の中にも、負担が過大になる懸念があるとの見方がある。 西友買収が期待された成果を上げることができれば、恐らく、トライアルは買収による収益基盤の拡大に取り組むことだろう。今回のトライアルの西友買収は、わが国小売業界の再編加速のきっかけになる可能性は高いとみる。 トライアルは、わが国の小売業界の中で異色の存在だ。元々の祖業は、1987年に開始した小売企業向けのシステムの受託開発だ。当時、消費者の好み、来店の範囲やタイミングなどを把握するソフトウェアを開発した。 トライアルは、データ分析で獲得した知見を、商品開発、マーケティング、店舗形態など小売ビジネスと結合した。1992年にディスカウントストア分野に進出し、福岡県大野城市に1号店をオープンした。1996年には、顧客データの蓄積・活用を開始すると同時に、北九州市にスーパーセンター(総合スーパー)を出店した。
2010年代以降、ソフトウェア開発は加速した。2013年,商品メーカーとデータを共有するITプラットフォームを構築し、2015年には”スキップカート”と呼ばれるレジカート(タブレット端末が付いたカート)を導入した。スキップカートを使うと、購入者はレジに並ばずに買い物を済ませることができる。支払いはアプリなどで行う。スキャンした商品に応じてクーポンを付与したりして,購買意欲を刺激する。トライアル社はこのカートを外販している。
デジタル技術
トライアルは、店舗運営にもデジタル技術を積極活用した。AI搭載カメラ・センサーを数多く配置し、リアルタイムでの売り場の状況確認,万引き防止の体制を確立している。さらに,消費者の行動,支出金額,買い物の傾向といったデータも蓄積した。
データ分析によって,低価格帯,かつ満足度の高い食料品などを開発し,顧客のより良い購買体験に繋げた。同社は得られた資金で食品関連企業を買収し,需要創出ペースを引き上げた。その結果,2025年6月期の第3四半期時点(累計)で、小売業の売上高は約5,970億円に増加した。うち,75%を食品が占める。うち約28%が加工食品,約16%が卵や乳製品,約30%が生鮮食品です。
【4割が地方】の立地戦略は維持できるのか。 トライアルの店舗分布を見ると,348店舗のうち143(41%)は九州にある。その多くは大型店舗(スーパーセンタートライアル)です。うりば面積3,300~6,600㎡程度となっています。郊外に位置する為,自動車の利用が前提になる。ここで問題となるのは,地方の人口減少が深刻であることです。
今後はまず,買収した西友をいかに早く軌道に乗せるかにかかっています。既存の店舗が少ないわけではないので既存店を落とさず,運営をしていかなければなりません。暫くはこのかじ取りに奔走するのは間違いないですね。地元の九州をしっかり販売をしていってもらいたいものです。
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